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美容医療ホームページの広告規制について

美容医療ホームページの広告規制について

Q.埼玉県大宮市で美容医療専門のクリニックを開設しています。
宣伝はホームページを主力としており、今までは「最低限これを入れて欲しい」という指示は最初にしましたが、その後はほとんど業者に任せる形で作ってもらっていました。ブログの部分はスタッフが書き込んでいますが、その他の画像や宣伝文句は業者が作成していますし、SEO対策やリスティング広告などの設定についても業者の側で行ってもらっています。
先日、美容医療のホームページについて規制ができるという話を聞きました。今までのように業者に一任というわけにはいかないと思っています。どのように対応すればよいのでしょうか。

医療広告の規制と医療機関のホームページの関係はどうなるのでしょうか?

病院やクリニックは広告を出したり宣伝をすることができます。そのため、駅のホームなどでもよく近隣の医療機関の宣伝の看板が立っていたり、美容医療などでテレビCMが放映されていたりしますし、医療法の条件にしたがった広告である限り問題はありません。
それでは、インターネット上のホームページはどうかといいますと今まで(平成28年8月現在)は広告ではない、ということになっていました。インターネット上の病院等のホームページは医療情報の提供や広報という意味合いがあるため広告としては扱わない、という判断でした(なお、バナー広告等は今までも広告として扱われていました)。

ただ、今までも医療機関のホームページの内容について何も決まりがなかったわけではありません。医療機関のホームページの内容については「医療機関のホームページの内容の適切なあり方に関する指針(医療機関ホームページガイドライン)」というガイドラインが厚労省から出されていました。
しかしながら、このガイドラインはあくまで「自主的な取り組みを促すもの」とされていて法的な拘束力のあるものではありませんでした。
そのため誇大な表現内容に起因する医療機関と顧客との間での紛争は減らなかったようです。医療機関のホームページの表現に対しても法的な規制をしていこう(平成28年8月現在では法規制は成立していません)、という運びになりました。

美容医療等のホームページの表現規制にどのように対応していけばよいのでしょうか?

私(弁護士鈴木沙良夢)の推測ですが、法律で定められる表現規制は、今までの「医療機関のホームページの内容の適切なあり方に関する指針(医療機関ホームページガイドライン)」の基準+αといった内容になるのではないかと思われます。
たとえば、ガイドラインの一例を見てみますと
「国民・患者に対して早急な受診を過度にあおる表現、費用の安さ等の過度な強調・誇張等については、国民・患者を不当に誘引するおそれがあることから、ホームページに掲載すべきでないこと。」というものがあります。具体的な表現例としては以下のような例が挙げられています。

このような表現は今後法的規制にかかる可能性があるということです。今までの美容医療のホームページでの表現の仕方から考えると「厳しい」とお考えになる先生方もいらっしゃるかもしれません。 医療機関側において事前に対応をするのであれば、現に運用しているホームページを弁護士等に確認してもらいガイドラインに反する点については早めに修正しておくという対応をすべきでしょう。

また、ホームページを作成する段階で弁護士のチェックを入れることが望ましいと思います。具体的には医療機関側での記事作成あるいはホームページ制作会社側で画像や素材等を作成する際に弁護士による事前チェックを入れられるようにしておくことをお勧めします。
私の事務所(鈴木沙良夢法律事務所)では、医療機関様からのご依頼を受けて、発注先のホームページ制作会社と直接やり取りをさせていただくという形での業務も承っております。

顧客誘引力を保ちつつも法に則った適切な表現を心がける必要がでてくるということになるでしょう。具体的な事案については当事務所までお問い合わせ下さい。ご依頼いただく前に見積もりを出させていただきます。
また、校正対象となるホームページの分量が多くない場合には、顧問契約をご締結いただいている医療機関様には顧問料の範囲内で対応させていただいております。

(平成28年8月4日 文責:弁護士鈴木沙良夢)
なお、本文の内容は作成された当時における法律や規則に基づいております。その後の法改正などにより現時点では的確ではない内容となっている場合があることをご了承ください。

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