医療法人

医療法人の登記簿についての解説

弁護士による医療法人の登記簿についての解説

医療法人の登記簿とは、正式には「履歴事項全部証明書」といいます。医療法人において登記に書かれている事項に変更があったときには、この登記を変更しなければならないとされています。

不動産の登記簿と同じく法務局という役所で誰でも自由に取ることができます。
そのため、ある医療法人がどういう法人なのかということを掴むためには、まず登記を見てみるとよいでしょう。「登記情報提供サービス」(http://www1.touki.or.jp/)を利用すれば、役所に行かなくてもネット上で登記の内容を確認することができます。

それでは登記簿を見ると何がわかるかということについてですが、医療法人の登記簿は以下の見本のような体裁になっています。


この登記に書かれている事項は、全て組合等登記令という政令(内閣が作った規則です)で決められています(組合等登記令第2条2項)。

この中で、重要なのは(1)「役員に関する事項」(2)「資産の総額」になります。

まず、「役員に関する事項」についてを見てみますが、ご覧の通り理事長についての記載しかなく、他の理事や監事といった医療法上の役員の記載はありません。
これは先ほどの組合等登記令で、登記に記載すべき事項が「代表権を有する者の氏名、住所及び資格」(組合等登記令第2条2項4号)となっていることからきています。
医療法上、医療法人の代表権を持っているのは理事長だけで、理事は代表権を持っていないとされている(医療法第46条の4第1項)ため登記には載りません。
つまり、医療法人の登記簿を見ても理事が誰かということまでは判らない、ということになります。
理事長は、理事としての資格も有していますが、理事の任期は最長でも二年とされていますので(医療法第46条の2第3項)、理事長の職に継続してとどまる場合も二年経つ毎に再任されて、再任(登記簿上は重任と書かれます)の登記をしなければなりません。
そのため、通常であれば少なくとも二年に1度は理事長の登記がされているはずですが、実際にはこの登記を行っていない医療法人もあります(医療法に違反していることになります)。

次に、「資産の総額」を見てみますが、これは決算が行われる毎に変わりますので、毎年1回必ず変更されるものです。
では、「資産の総額」とはどういうものかということについてですが、これは決算時点での医療法人(病院・診療所・クリニック等)のプラスの資産からマイナスの負債を引いた金額を意味します。貸借対照表でいうところの「純資産合計」にあたります。
また、資産よりも負債の方が多い医療法人の場合には「金0円(債務超過額金○○○万円)」というように記載されます。
決算が行われるたびに登記がなされるため、医療法人の純資産額の推移をざっくりと把握するためには有用です。見本を見てみますと、「資産の総額」の一番最後の欄から「平成21年度の決算ではプラスの資産が3億円になったのだな」ということがわかります。
(平成26年5月15日 文責:弁護士鈴木沙良夢)

なお、本文の内容は作成された当時における法律や規則に基づいております。その後の法改正などにより現時点では的確ではない内容となっている場合があることをご了承ください。

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